第10章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3511更新时间 : 2017-07-30 10:15:55

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「来た!来た!」ガヤガヤ言う声で、トットちゃんは、飛び起きて、校庭から門の外のところまで走って行った。ちょうど、朝もやの中に、電車が、大きな姿を現したところだった。なんだか、まるで夢みたいだった。線路のない、普通の道を、電車が、音もなく、走ってきたのだもの。この電車は、大井町の操車場から、トラクターで、運ばれてきたのだった。トットちゃんたちは自分達の知らなかった、この、リヤカーより大きいトラクターというものの存在を知って、そのことにも感動した。この大きなトラクターで、誰もいない朝の町を、ゆっくりと、電車は、運ばれて来たのだった。\ ところが、それからが大騒ぎだった。まだ大型クレーンなど、ない時代だったから、電車をトラクターから、下ろすというか、はずして、決められた校庭の隅に、移すというのが、大変な作業だったのだ。運んできたお兄さん達は、太い丸大を、何本も電車の下に敷いて、少しずつ、その上を、転がすようにして、電車を、トラクターから、校庭へと下ろしていった。「よく見ていなさい。あれは、コロといって、転がす力を応用して、あんな大きな電車を動かすんだよ」校長先生は、子供たちに説明した。子供たちは真剣に、見物した。お兄さん達の、「よいしょ、よししょ」の声に、合わすように、朝の光が、のぼり始めた。たくさんの人達を乗せて,忙しく働いてきた,この電車は、すでに、この学校に来ている他の六台の電車と同じように、車輪かはずされていて、もう走る必要もなく、これから、子供たちの笑い声や叫び声だけをのせて、のんびりすれば、いいのだった。子供たちは、パジャマ姿で、朝日の中にいた。そして、この現場に居合わせたことを、心から幸福に思った。あんまり、嬉しいので、次々に、校長先生の肩や腕に、ぶら下がったり飛びついたりした。校長先生は、よろけながら、嬉しそうに笑った。校長先生の笑う顔を見ると、子供たちも、また、嬉しくなって笑った。誰も彼もが笑った。そして、このとき笑ったことを、みんなは、いつまでも、忘れなかった。

    トットちゃんにとって。今日は記念すべき日だった。というのは、生まれて初めて、プールで泳いだのだから。しかも、裸んぼで。 今日の朝のことだった、校長先生が、みんなにいった。「急に暑くなったから、プールに水を入れようと思うんだ!」「わーい」と、みんな、飛び上がった。一年生のトットちゃん達も、もちろん、「わーい」といって、上級生より、もっと、飛び上がった。トモエのプールは、普通のみたいに四角じゃなくて、(地面の関係から、らしかったけど)先のほうが、少し細かくなってるボールみたいな形だった。でも、大きくて、とても立派だった。場所は、教室と講堂の、ちょうど、あいだにあった。 トットちゃん達は、授業中も、気になって、何度も電車の窓からプールを見た。水が入っていないときのプールは、枯れた葉っぱの運動場みたいだったけど、お掃除して、水が入り始めると、それは、はっきりと、プールとわかった。 いよいよ、お昼休みになった。みんなが、プールの周りに集まると、校長先生が言った。「じゃ、体操してから、泳ごうか?」トットちゃんは考えた。(よくわかんないけど、普通泳ぐときって、海水着って言うの、着るんじゃないの?もうせん、パパとママと鎌倉に行ったとき、海水着とか、浮袋とか、いろんなもの、持っていったんだけど……今日、持って来るように、って先生言ったかなあ?……) すると、校長先生は、トットちゃんの考えれることが、わかったみたいに、こういった。「水着の心配は、いらないよ。講堂に行ってごらん?」 トットちゃんと他の一年生が走って講堂に行ってみると、もう大きい子供達が、キャアキャア叫びながら、洋服を脱いでるところだった。そして、脱ぐと、お風呂に入るときと同じように裸んぼで、校庭に、次々と、飛び出して行く。トットちゃん達も、急いで脱いだ。熱い風が吹いていたから、裸になると気持ちがよかった。はだしで、階段を、駆け降りた。 水泳の先生は、ミヨちゃんのお兄さん、つまり、校長先生の息子で、たいそうの専門家だった。でも、トモエの先生ではなくて、よその大学の水泳の選手で、名前は、学校と同じ、ともえ(巴)さん、といった。トモエさんは、海水着を着ている。 体操をして、体に水をかけてもらうと、みんな、「キィー!」とか、「ヒャー!」とか、「ワハハハ」なんて、いろんな声を出しながら、プールに、とびこんだ。トットちゃんも、少し、みんなの入るを見て、背が立つとわかってから、入ってみた。お風呂は、お湯だけど、プールは、水だった。でも、プールは大きくて、どんなに手を伸ばしても、どこまでも、水だった。 細っこい子も、少しデブの子も、男の子も女の子も、みんな、生まれたまんまの姿で、笑ったり、悲鳴をあげたり、水にもぐったりした。トットちゃんは、「プールって、面白くて、気持ちがいい」と考え、犬のロッキーが、一緒に学校に来られないのを、残念に思った。だって、海水着を着なくてもいい、ってわかったら、きっとロッキーも、プールに入って、泳ぐのにさ。 校長先生が、なぜ、海水着なしで泳がしたか、って言えば、それに別に、規則ではなかった。だから、海水着を持って来た子は、来てもよかったし、今日みたいに、急に「泳ごうか?」となった日は、用意もないから、裸でかまわなかった。で、なぜ裸にしたか、といえば、「男の子と女の子が、お互いに体の違いを、変な風に詮索するのは、よくないことだ」ということと、「自分の体を無理に、他の人から、隠そうとするのは、自然じゃない」、と考えたからだった。 (どんな体も美しいのだ) と校長先生は、生徒達に教えたかった。トモエの生徒の中には、泰明ちゃんのように、小児麻痺の子や、背が、とても小さい、というような、ハンディキャップを持った子も、何人かいたから、裸になって、一緒に遊ぶ、ということが、そういう子供達の羞恥心を取り除き、ひいては、劣等意識を持たさないのに役立つのではないか、と、校長先生は、こんなことも考えていたのだった。そして、事実、初めは恥ずかしそうにしていたハンディキャップを持っている子も、そのうち平気になり、楽しいことのほうが先にたって、「恥ずかしい」なんて気持ちは、いつのまにか、なくなっていた。 それでも、生徒の家族の中には、心配して、「必ず着るように!」と言い聞かせて、海水着を持たす家もあった。でも、結局は、トットちゃんみたいに、初めから、(泳ぐのは裸がいい)、と決めた子や、「海水着を忘れた」といって、泳いでいる子を見ると、そのほうがいいみたいで、一緒に裸で泳いでしまって、帰るときに、大騒ぎで、海水着に水をかけたり、ということになるのだった。そんなわけで、トモエの子供達は、全身、真っ黒に陽焼けしちゃうから、海水着を跡が白く残ってる、ってことは、たいがい、なかった。

    トットちゃんは、今、ランドセルをカタカタいわせながら、わき見もしないで、駅から家に向かって走っている。ちょっと見たら、重大事件が起こったのか、と思うくらい。学校の門を出てから、ずーっと、トットちゃんは、こうだった。 家に着いて、玄関の戸を開けると、トットちゃんは、 「ただいま」 といってから、ロッキーを探した。ロッキーは、ベランダに、お腹をぺったりとつけて、涼んでいた。トットちゃんは、黙って、ロッキーの顔の前に座ると、背中からランドセルを卸し、中から、通信簿を取り出した。それは、トットちゃんが、始めてもらった、通信簿だった。トットちゃんは、ロッキーの目の前に、よく見えるように、成績のところを開けると、 「見て?」 と、少し自慢そうにいった。そこには、甲とか乙とか、いろんな字が書いてあった。最もトットちゃんにも、甲より乙のほうがいいのか、それとも、甲のほうがいいのか、そういうことは、まだ、わからなかったのだから、ロッキーにとっては、もっと難しいことに違いなかった。でも、トットちゃんは、この、初めての通信簿を、誰よりも先にロッキーに見せなきゃ、と思ってたし、ロッキーも、きっと、喜ぶ、と思っていた。 ロッキーは、目の前の紙を見ると、においをかいで、それから、トットちゃんの顔を、じーっと見た。トットちゃんは、いった。 「いいと思うでしょ?ちょっと漢字が多いから、あんたには、難しいとこも、あると思うけど」 ロッキーは、もう一度、紙を、よく眺める風に頭を動かして、それから、トットちゃんの手を、なめた。

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