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「そう」と緑は言った。「固くて大きいから」
緑は少し酔払っていて階段を一段踏み外して、我々はあやうく下まで転げおちそうになった。店の外に出ると空をうすく覆っていた雲が晴れて、夕暮に近い太陽が街にやさしく光を注いでいた。僕と緑はそんな街をしばらくぶらぶらと歩いた。緑は木のぼりがしたいといったが、新宿にはあいにくそんな木はなかったし、新宿御苑はもう閉まる時間だった。
「残念だわ、私木のぼり大好きなのに」と緑は言った。
緑と二人でウィンドウ?ジョッピングをしながら歩いていると、さっきまでに比べて街の光景はそれほど不自然には感じられなくなってきた。
「君に会ったおかけで少しこの世界に馴染んだような気がするな」と僕は言った。
緑は立ちどまってじっと僕の目をのぞきこんだ。「本当だ。目の焦点もずいぶんしっかりしてきたみたい。ねえ、私とつきあってるとけっこ良いことあるでしょ?」
「たしかに」と僕は言った。
五時半になると緑は食事の仕度があるのでそろそろ家に帰ると言った。僕はバスに乗って寮に戻ると言った。そして僕は彼女を新宿駅まで送り、そこで別れた。
「ねえ今私が何やりたいかわかる?」と別れ際に緑が僕に訪ねた。
「見当もつかないよ、君の考えることは」と僕は言った。
「あなたと二人で海賊につかまって裸にされて、体を向いあわせにぴったりとかさねあわせたまま紐でぐるぐる巻きにされちゃうの」
「なんでそんなことするの?」
「変質的な海賊なのよ、それ」
「君の方がよほど変質的みたいだけどな」と僕は言った。
「そして一時間後には海には放り込んでやるから、それまでその格好でたっぷり楽しんでなっって船倉に置き去りにされるの」
「それで?」
「私たち一時間たっぷり楽しむの。ころころ転がったり、体よじったりして」
「それが君のいちばんやりたいことなの?」
「そう」
「やれやれ」と僕は首を振った。
日曜日の朝の九時半に緑は僕を迎えに来た。僕は目がさめたばかりでまだ顔も洗っていなかった。誰かが僕の部屋をどんどん叩いて、おいワタナベ、女が来てるぞ!とどなったので玄関に下りてみると緑が信じられないくらい短いジーンズのスカートをはいてロビーの椅子に座って脚を組み、あくびをしていた。朝食を食べに行く連中がとおりがけにみんな彼女のすらりとのびた脚をじろじろと眺めていった。彼女の脚はたしかにとても綺麗だった。
「早すぎたかしら、私?」と緑は言った。「ワタナベ君、今起きたばかりみたいじゃない」
「これから顔を洗って髭を剃ってくるから十五分くらい待ってくれる?」と僕は言った。
「待つのはいいけど、さっきからみんな私の脚をじろじろみてるわよ」
「あたりまえじゃないか。男子寮にそんな短いスカートはいてくるだもの。見るにきまってるよ、みんな」
「でも大丈夫よ。今日のはすごく可愛い下着だから。ピンクので素敵なレース飾りがついてるの。ひらひらっと」
「そういうのが余計にいけないんだよ」と僕はため息をついて言った。そして部屋に戻ってなるべく急いで顔を洗い、髭を剃った。そしてブルーのボタン?ダウン?シャツの上にグレーのツイードの上着を着て下に降り、緑を寮の門の外に連れ出した。冷や汗が出た。
「ねっ、ここにいる人たちがみんなマスターベーションしてるわけ?シコシコって?」と緑は寮の建物を見上げながら言った。
「たぶんね」
「男の人って女の子のことを考えながらあれやるわけ?」
「まあそうだろね」と僕は言った。「株式相場とか動詞の活用とかスエズ運河のことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。まあだいたいは女の子のこと考えてやるじゃないかな」
「スエズ運河」
「たとえば、だよ」
「つまり特定の女の子のことを考えるのね?」
「あのね、そういうのは君の恋人に訊けばいいんじゃないの?」と僕は言った。「どうして僕が日曜日の朝から君にいちいちそういうことを説明しなきゃならないんだよ?」
「私ただ知りたいのよ」と緑は言った。「それに彼にこんなこと訊いたらすごく怒るのよ。女はそんなのいちいち訊くもんじゃないだって」
「まあまともな考えだね」
「でも知りたいのよ、私。これは純粋な好奇心なのよ。ねえ、マスターべーションするとき特定の女の子のこと考えるの?」
「考えるよ。少くとも僕はね。他人のことまではよくわからないけれど」と僕はあきらめて答えた。
「ワタナベ君は私のこと考えてやったことある?正直に答えてよ、怒らないから」
「やったことないよ、正直な話」と僕は正直に答えた。
「どうして?私が魅力的じゃないから?」
「違うよ。君は魅力的だし、可愛いし、挑発的な格好がよく似合うよ」
「じゃあどうして私のこと考えないの?」
「まず第一に僕は君のことを友だちだと思ってるから、そういうことにまきこみたくないんだよ。そういう性的な幻想にね。第二に――」
「他に想い浮かべるべき人がいるから」
「まあそういうことだよね」と僕は言った。
「あなたってそういうことでも礼儀正しのね」と緑は言った。「私、あなたのそういうところ好きよ。でもね、一回くらいちょっと私を出演させてくれない?その性的な幻想だか妄想だかに。私そういうのに出てみたいのよ。これ友だちだから頼むのよ。だってこんなこと他の人に頼めないじゃない。今夜マスターベーションするときちょっと私のこと考えてね、なんて誰にでも言えることじゃないじゃない。あなたをお友だちだと思えばこそ頼むのよ。そしてどんなだったかあとで教えてほしいの。どんなことしただとか」
僕はため息をついた。
「でも入れちゃ駄目よ。私たちお友だちなんだから。ね?入れなければあとは何してもいいわよ、何考えても」
「どうかな。そういう制約のあるやつってあまりやったことないからねえ」と僕は言った。
「考えておいてくれる?」
「考えておくよ」
「あのねワタナベ君。私のことを淫乱とか欲求不満だとか挑発的だとかいう風には思わないでね。私ただそういうことにすごく興味があって、すごく知りたいだけなの。ずっと女子校で女の子だけの中で育ってきたでしょ?男の人が何を考えて、その体のしくみがどうなってるのかって、そういうことをすごく知りたいのよ。それも婦人雑誌のとじこみとかそういうんじゃなくて、いわばケース?スタディーとして」
「ケース?スタディー」と僕は絶望的につぶやいた。
「でも私がいろんなことを知りたがったりやりたがったりすると、彼不機嫌になったり怒ったりするの。淫乱だって言って。私の頭が変だって言うのよ。フェラチオだってなかなかさせてくれないの。私あれすごく研究してみたいのに」
「ふむ」と僕は言った。
「あなたフェラチオされるの嫌?」
「嫌じゃないよ、べつに」
「どちらかというと好き?」
「どちらかというと好きだよ」と僕は言った。
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