第15章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3638更新时间 : 2017-07-30 10:15:55

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初めは、手も足も、目茶苦茶だったり、口々に。 「先生、待ってよ、待ってよ」 といいながら、ウンウンやったけど、馴れてくると、とても気持ちがよく、自分でも、いろんなことを考え出してやれることもあって、楽しみだった。たいがいは、流れの中で一人でやるんだけど、気が向いたときは、誰かと並んでやったり、二拍子のときだけ、片手をつないだままやったり、目をつぶってやってみたり。ただ、しゃべることは、いけないとされていた。 ママ達も、たまに父兄会のときなんかに、そーっと外から見ることもあったけど、子供達がそれぞれ、その子らしい表情で、のびのびと手足を動かし、いかにも気持ちよさそうに、飛び跳ねて、しかも、リズムに、きっちり、あっている、という光景は、いいものだった。 リトミックは、こんな風に、体と心にリズムを理解させることから始まり、これが、精神と肉体との調和を助け、やがては、想像力を醒まし、創造力を発達させるようになればいい、という考えのものだった。だから、初めての日、トットちゃんが、学校の門のところで、ママに、 「トモエって、なあに?」と聞こうとしたけど、この学校の「トモエ」、というのは、白と黒から出来ている紋所の一種の二つ巴で子供達の身心両面の発達と調和を願う、校長先生の心の現われだった。 リトミックの種類は、まだたくさんあったけど、とにかく、校長先生は、子供達の、生まれつき持ってる素質を、どう、周りの大人たちが、損なわないで、大きくしてやれるか、ということを、いつも考えていた。だから、このリトミックにしても、 「文字と言葉に頼り過ぎた現代の教育は、子供達に、自然を心で見て、神の囁きを聞き、霊感に触れるというような、官能を衰退させたのではなかろうか? 古池や 蛙とびこむ 水の音……池の中に蛙がとびこむ現象を見た者は、芭蕉のみでは、なかったろうに、湯気たぎる鉄瓶を見た者、林檎の落ちるのを見た者は、古今東西に於いて、ワット一人、ニュートン一人というわけで、あるまいに。世に恐るべきものは、目あれど美を知らず、耳あれども楽を聴かず、心あれども真を解せず、感激せざれば、燃えもせず……の類である」などと嘆いていた校長先生が、きっと、いい結果を生むに違いないと授業に入れたものだった。そして、トットちゃんは、イサドラ?ダンカン風に、はだしで走りまわり、とびまわって、それが、授業だなんて、すごく嬉しいと思っていた。

    トットちゃんは生まれて初めて、縁日に行った。縁日は、前に行ってた学校のそばにある洗足池の、弁天様がある小さい島でやっていた。パパとママに連れられて薄暗い道を歩いて行って、急に明るくなったと思ったら、それが縁日で、いろんな電気がついているのだった。一目見ただけで、もう興奮したトットちゃんは、小さな夜店のひとつひとつに頭を突っ込んだ。あっちでもこっちでも、ピーとかポンとかシュルシュルという音がして、いろんな、においがして、今まで見たことのないものだらけだった。赤や黄色やピンクのリリアンにぶら下がったハッカパイプ。犬とか猫とかベティーサンなどの顔がパイプになっている。そして綿アメ、ベッコウアメ。ずんだ音がする山吹鉄砲.あと、刀を飲み込んだり、ガラスを食べちゃうおじさんが、芸を道で見せてるかと思うと、お丼のヘリにつけると、お丼がワアーンと鳴る“粉”を売るおじさんも、いる。それから、お金が消えてしまう手品の「金の輪」とか日光写真とか、水中花……。 キョロキョロしながら歩いてるトットちゃんが、 「わあー!」 といって足を止めたもの、それは、真っ黄色のヒヨコだった。小さくて、まん丸のヒヨコは小さい箱の中に、いっぱいいて、みんなピイピイ鳴いていた。「欲しい!」トットちゃんは、パパとママの手を引っ張った。「ねえ、これ買って?」ヒヨコは、トットちゃんのほうを向き、小さい尻尾を振るわせ、くちばしを上に向けて、もっと大きい声で鳴いた。「可愛い……」トットちゃんはしゃがみこんだ。こんなに小さく可愛いものって、前に見たことがない、と思った。「ねえ?」トットちゃんは、パパとママを見上げた。ところがびっくりしたことに、パパとママは、トットちゃんの手を引っ張って、歩き出そうとしたのだった。「ね、何か買ってあげるって言ったじゃないの。私、これ欲しい!」ママが小さい声で言った。「このヒヨコは、すぐ死ぬから、可哀そうなの。およしなさい」「どうして?」トットちゃんは泣き声になった。パパは、ヒヨコの売り屋さんに聞こえないように、少し離れたところで説明した。「あれは、今は可愛いけど、体は弱いからすぐ死んで、トット助が泣く事になるから、パパ達は、いってるんだよ」でも、もうトットちゃんは、ヒヨコを見ちゃったkら、説明を聞きたくなかった。「絶対に死なせない。面倒見るから、お願い?」それでも、パパとママは頑固に、トットちゃんを、ヒヨコの箱の前から、ひっぱった。トットちゃんは、引っ張られながら、ヒヨコ達を見た。ヒヨコは、みんなトットちゃんに連れてって欲しそうに、もっと鳴いた。トットちゃんは、もうヒヨコじゃなきゃ、何も要らないと思った。パパとママに、お辞儀をしていった。「ねえ、お願い。ヒヨコを買ってください。」でも、ママもパパも頑張った。「あなたが泣く事になるから、よしたほうがいいって思うのよ」トットちゃんはベソベソ泣き出した。そして家のほうに泣きながら歩き出した。そして、暗いところまで来たとき、しゃくりあげながらいった。「お願いします。一生のお願い。死ぬまで何か買ってって、いいません。あのヒヨコ買ってください」というとパパもママも折れてしまった。さっき鳴いた烏かもう笑った、というくらい、嬉しそうな顔のトットちゃんの手の中の小さい箱には、二羽のヒヨコが入っていた。次の日、ママが大工さんに頼んで、桟つきの特別製の箱を作ってもらい、中に電球を入れて、暖めた。トットちゃんは、一日中、ヒヨコを見て暮らした。黄色いヒヨコは可愛かった。ところが突然、四日目に一羽が。五日目にもう一羽が、動かなくなってしまった。どんなに手でさすっても、呼んでも、もう二度とピイピイとはいわなかった。そして、いつまで待っても目を開かなかった。パパとママの言ったことは正しかった。トットちゃんは、ひとりで泣きながら庭に穴を掘って、二羽を埋めた。そして、小さいお花を、お供えした。ヒヨコのいなくなった箱は、ガランとして大きく見えた。箱の中のほうに、小さい黄色の羽が落ちてるのを見つけたとき、縁日でトットちゃんを見て鳴いてたときの姿を思い出し、トットちゃんは、歯を食いしばって泣いた。一生のお願いが、こんなに早く、なくなってしまった……。これがトットちゃんが人生で最初に味わった「別れ」というものだった。

    校長先生は、トモエの生徒の父兄に、「一番わるい洋服を着せて、学校に寄こしてください」と、いつもいっていた。というのは、“汚したら、お母さんにしかられる”とか、“破けるから、みんなと遊ばない”ということは、子供にとって、とてもつまらないことだから、どんなに泥んこになっても、破けても、かまわない、一番わるい洋服を着させてください、というお願いだった。トモエの近くの小学校には、制服を着てる子もいたし、セーラー服とか、学生服に半ズボン、という服装もあった。だけど、トモエの子は、本当に普段着で学校に来た。そして先生のお許しがあるわけだから、洋服のことを気にしないで、もうできるだけ遊んだ。でも今のように、ジーンズなど丈夫な布地のない時代だったから、どの子のズボンも、つぎがあたっていたし、女の子のスカートも、出来るだけ、丈夫な布で作ってあった。トットちゃんの、最も大好きな遊びは、よその家の垣根や、原っぱの垣根の下をくぐることだったから、洋服のことを考えなくていいのは、都合がよかった。その頃の垣根は、子供達が「デツジュウモウ(鉄条網)」と呼んでいる有刺鉄線というか、バラ線が、柵の周りに張り巡らしてあるのが多かった。中には、地面につくくらい下のほうまで、しっかり、絡んでいるのもよくあった。これに、どうやってもぐりこむか、といえば、この垣根の下に頭を突っ込んで、テツジョウモウを押し上げ、穴を掘って、もぐる、ちょうど、犬と同じやり方だった。そして、このとき、トットちゃんも、気をつけてはいるのだけれど、どうしても、トゲトゲの鉄線に洋服がひっかかって、破けてしまうのだった。いつかなどは、かなり古くて、「しょう」の抜けているメリンス風の布地のワンピースを着てるときだったけど、このときは、スカートが破ける、とか、引っかかった、というのじゃなく、背中からお尻にかけて、七ヶ所くらい、ジャキジャキに破けて、どう見ても、背中にハタキを背負ってる、という風になってしまった。

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