第21章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3510更新时间 : 2017-07-30 10:15:55

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ただ、トットちゃんにとっては、目を輝かして、相手の指の動きを見ている子供たちが、とても美しいと思え、いつか、お友達になりたい、と、そんな風に考えていたのだった。

    トモエの小林先生の教育方法は、独特であったけど、多分に、ヨーロッパや、そのほかの外国の影響も、受けていた。例えば、リトミックをはじめとする新しいリズム教育。お食事や、お散歩のときなどのマナー.お弁当のときに歌う、 よーく 噛めよ 食べ物を…… は、イギリスの、ロー ロー ロー ユアー ボートの替え歌だったし、その他にも、いろいろあった。ところが、この小林先生の、片腕というか、普通の学校なら、教頭先生に当たる、丸山先生という先生は、全く、ある点、小林先生と違っていた。丸山先生は、名前の丸と同じに、真ん丸い頭で、そのてっぺんには毛が一本もなくて、ツルツルだけど、よく見ると、耳の横から、後ろにかけては、短くて光っている白い毛が、ずーっと生えている、というところや、真ん丸い眼鏡に、真っ赤な頬っぺたという、見たところが、まず小林先生とは違っていたけど、それよりも、時々、ベンケイ シクシク 夜 河をわたるという詩吟を、みんなに聞かせるところが、とても違っていた。本当は、鞭声 粛々 夜 河を過るというのだけれど、トットちゃんたちは、弁慶が、シクシクと泣きながら、夜、川を渡っていくときの歌だと信じていた。それにしても、丸山先生の「ベンケイ シクシクは有名だった。ところで、十二月の十四日のことだった。朝、みんなが学校に集まると、丸山先生は、いった。「今日は、四十七士が討ち入りをした日なので、泉岳寺まで、歩いて、お参りに行きます。お家のほうには、もう連絡してありますから」小林先生は、この丸山先生の、やりたい事に、反対はしなかった。どう思っていたかは、わからないけど、反対しなかった。という事は、「悪くない」と思っていた事になるのだから。それにしても、やっぱり、トモエと四十七士お墓参りと言うのは、なんとなく、取り合わせが面白い、と、トットちゃんのママなどは思っていた。出発の前に、丸山先生は、四十七士の大体の筋を説明した。中でも、四十七士に武具を調達した、天野屋利兵衛という人が、幕府の役人に、どんなに追及されても、「天野屋利兵衛は、男でござる」といって、仇討ちの秘密を、漏らさなかった、というところを、繰り返し、みんなに話した。生徒たちは、四十七士のことは、あまりよくわからなかったけど、授業がなくて、九品仏のお寺より、遠いところまで、お弁当を持って散歩に行く、という事に興奮していた。校長先生や、ほかの先生に、「行ってまいりまーす」をして、全校生徒、五十人が、丸山先生を先頭に歩き出した。そのうち、列の、あっちでも、こっちでも、「天野屋利兵衛は男でござる」という声が聞こえた。女の子も、大きい声で、「……男でござる」などと叫んだから、道を歩く人は、笑って振り返ったりした。自由が丘から泉岳寺までは、約三里(十二キロ)の道のりだった。でも車もほとんどなく、空は青い、十二月の東京、「天野屋利兵衛は男でござる」を連発しながら、ゾロゾロ歩く子供たちにとっては、ちっとも苦にならない道だった。泉岳寺に着くと、丸山先生、みんなに、お線香や、水や、花を渡した。九品仏のお寺よりは、小さかったけど、お墓は、たくさん、並んでいた。そして、ここに、「シジュウシチシ」という人が、お祭りしてあるのだ、と思うと、トットちゃんも、おごそかな気分になって、お線香や、お花を供えて、黙って、丸山先生のするように、お辞儀した。生徒たちの間に、静寂、というようなものが広がった。トモエには珍しく、静かになった。どのお墓の前のお線香も、長く長く、空に、煙で絵を描いていた。その日以来、トットちゃんにとって、お線香のにおいは、丸山先生の、においになった。そして、それは、また、「ベンケイ シクシク」のにおいでもあり、「天野屋利兵衛」の、においでもあり、「静か……」の、においでもあった。子供たちは、ベンケイも四十七士も、あんまり、よくは、わからなかったけど、それを、熱を込めて、子供たちに話す丸山先生を、小林先生とは、また違った意味で、尊敬し、親しく思っていた。それから、丸山先生の度の強い、とても厚いレンズの向こうの、小さい目と、大きい体に似合わない、やさしい声を、トットちゃんは、大好きだと思っていた。お正月は、もう、そこまで来ていた。

    トットちゃんが、家から駅に行ったり、帰ったりする途中に、朝鮮の人が、住んでいる長屋があった。トットちゃんには、もちろん、その人たちが、朝鮮の人、ということは、わからなかった。ただ、わかっていることは、その中の一人の、おばさんが、髪の毛を、真ん中から分けて、ひっつめに結っていて、少し太っていて、先のとがった、小さいボートみたいな白いゴムの靴に、長いスカートで、胸に大きく、リボンみたいのを結んだ洋服を着ていることと、いつも、大きな声で、「マサオちゃーん!」と、自分の子供を探していることだった。本当に、このおばさんは、いつも、マサオちゃんの名前呼んでいた。それも、ふつうなら、「マサオちゃん」というふうに、「サ」と「オ」にアクセントが、くるんだけど、このおばさんは、「マサオちゃーん」と、「サ」だけが大きくなって、しかも、「ちゃーん」と、伸ばすところが、高い声になるので、それがトットちゃんには、悲しいみたいに聞こえた。この長屋は、トットちゃんの乗る大井町線の線路に面していて、少し高く、ガケのようになっているところにあった。マサオちゃんを、トットちゃんは知っていた。トットちゃんより、少し大きく、二年生くらいで、どこの学校に行っているのかは、わからなかったけど、モシャモシャの髪の毛をして、いつも犬を連れて、歩いていた。あるとき、トットちゃんが、学校の帰りに、この小さいガケの下を通ったときだった。マサオちゃんが、そこに仁王立ちに立っていた。両手を腰に当てて、えらそうな恰好で、突然、トットちゃんに、大きい声で叫んだ。「チョーセンジン!」それは、とても憎しみのこもった、鋭い声で、トットちゃんは、怖かった。そして、何にも話をしたことも、意地悪をしたこともない男の子が、何か、憎しみを込めて、高いところから、自分に、そんなこと、いったことにも、びっくりした。トットちゃんは、家に帰ると、ママに報告した。「私のこと、マサオちゃんが、チョーセンジン!といった」ママは、トットちゃんの報告を聞くと、手を口に当てた。そして、みるみるうちに、ママの目に、涙が、いっぱいになった。トットちゃんは驚いた。何か、とても悪いことなのかと思ったから、すると、ママは、鼻の頭を赤くして、涙を拭きもしないで、こういった。「かわいそうに……。きっとみんながマサオちゃんに、「朝鮮人!朝鮮人!」と言うんでしょうね。だから、「朝鮮人!」というのは、人に対しての悪口の言葉だと思っているのね。マサオちゃんには、まだ、わからないのよ、小さいから。よく、みんなが、悪口を言うとき、「馬鹿!」なんて言うでしょう?」マサオちゃんは、そんな風に、誰かに悪口を言いたかったので、いつも自分が、人から言われているように、「チョーセンジン!」と、あなたに、いってみたんでしょう。なんて、みんなは、ひどいことをいうのかしらね……」それから、ママは涙をふくと、トットちゃんに、ゆっくり、こういった。「トットちゃんは、日本人で、マサオちゃんは、朝鮮という国の人なの。だけど、あなたも、マサオちゃんも、同じ子供なの。だから、絶対に、「あの人は日本人」とか、「あの人は朝鮮人」とか、そんなことで区別しないでね。マサオちゃんに、親切にしてあげるのよ。朝鮮の人だからって、それだけで、悪口言われるなんて、なんて気の毒なんでしょう」トットちゃんは、まだ、そういうことは、難しかったけど、少なくとも、あのマサオちゃんが、理由なく、人から悪口を言われている子供だってことは、わかった。そして、だから、いつもお母さんが、マサオちゃんを心配して探しているのだろう、と考えた。だから次の朝、またガケの下を通ったとき、お母さんが、かん高い声で、「マサオちゃーん!」と呼んでるのを聞きながら、(マサオちゃんは、どこに行ったのかしら?)と思い、(私はチョーセンジンという人じゃないらしいけど、もし、マサオちゃんが、また私に、そういったら、「みんな同じ子供!」といって、お友達になろう)と考えていた。

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