第22章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3567更新时间 : 2017-07-30 10:15:55

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それにしても、マサオちゃんのお母さんの声は、いらだたしい、という感じと、不安とがまざった。特別の響きで、長く尾を引いていた。そして、それが、時には、そばを通る電車の音に消されることもあった。でも、「マサオちゃーん!」それは、一度聞いたら、忘れられないくらい、さびしく、泣いているような声でも、あったのだった。

    トットちゃんの憧れは、このところ、“ふたつ”あった。この前の、運動会のブルーマー.もうひとつは、三つの編みの、おさげだった。電車の中で、大きいお姉さんの、おさげをみたとき、(ああいう髪の毛の人になろう!)と、決めたのだった。だから、みんなは短いオカッパ頭にしてたけど、トットちゃんは、横わけにして、少しだけリボンで結び、毛は長くたらしていた。それは、ママの趣味でもあったけど、いつか、おさげにしよう、という気持ちが、トットちゃんにあったから。そして今日、とうとう、トットちゃんは、ママに、三つの編みの、おさげにしてもらったのだった。輪ゴムで先っちょを止め、細いリボンを結ぶと、もう上級生になったみたいでうれしかった。鏡で、どんなにステキ化、確かめると、(本当は、お姉さんたちに比べると、毛も少なく、短くて、子豚のしっぽみたいだったんだけど)犬のロッキーのところに走っていって、大事そうに、つまんでみせた。ロッキーは、目を二回か三回、パチパチさせた。トットちゃんは言った。「あんたの毛も、おさげにできたら、いいのにね」それからトットちゃんは、「くずれるといけない!」と考えて、頭を動かさないようにして電車に乗った。もしかすると、電車の中で、\ 「あら、ステキな、おさげ!!」なんて、誰かが言ってくれないかな?などとも考えていたけど、誰も言ってくれなかった。それでも学校に着くと、同級生の、ミヨちゃん、サッコちゃん、青木恵子ちゃんが、「わあ!おさげにしてる!」と一斉にいったので、とても満足した。だから、ちょっとずつ、三つ編みを、さわらしてあげたりもした。でも、男の子は、誰も、「わあ!」とは、いってくれないみたいだった。ところが、お弁当の時間が終わったときだった。同級生の大栄君が、突然、「あれえ?トットちゃんの毛、いつもと違う!」と大きい声で言った。トットちゃんは、(男の子も気がついた!)と、うれしくなって、得意そうに、「そう。おさげ」といった。すると大栄君は、トットちゃんのそばに来て、いきなり両手で、おさげをつかむと、「ああ、今日は疲れたから、ぶら下がるのにちょうどいい。電車の、つり革より、ラクチンだ!」と歌うようにいったのだった。そして、トットちゃんの悲しみは、それだけでは終わらなかった。というのは、大栄君は、クラスの中でも、一番、体が大きくて肥っていた。だから、痩せて小さいトットちゃんの倍くらいあるようにみえた。その大栄君が、「ラクチンだ!」といって、後ろに引っ張ったから、トットちゃんは、よろけて、尻もちをついてしまったのだった。「つり革」なんていわれて傷ついて、しかも尻もちまでついたトットちゃんが、「ワァ!!」と泣いたのは、次に、大栄君が、立たせてくれようとして、おさげを持ったまま、冗談に、「オーエス!オーエス!」といって、運動会の綱引きみたいに、かけ声をかけて、ひっぱったときだった。トットちゃんにしてみれば、おさげは、「大人の女の子になった」という“しるし”のはずだった。だから、おさげをしてるトットちゃんを見て、みんなが、「おそれいりました」といってくれるさえ思っていたのに……。トットちゃんは、「ワァ!!」と泣くと、そのまま走って、校長室まで行った。トットちゃんが泣きながら、ノックをすると、校長先生は、ドアを開けて、いつもみたいに、トットちゃんと同じ目の高さになるまで、体を低くして、聞いた。「どうしたんだい?」トットちゃんは、おさげが、まだ、ちゃんとそのままになっているかどうか、たしかめてから、「大栄君が、これを引っ張って、オーエス!オーエス!といった」といった。校長先生は、トットちゃんを見た。細くて短いおさげは、なき顔と反対に、元気そうで、踊ってるみたいだった。先生は、椅子にかけ、トットちゃんを前のいすに座らせると、普段の通り、歯の抜けているのを気にしないでニコニコしていった。「泣くなよ。君の髪は、ステキだよ」トットちゃんは、涙でビショビショの顔を上げると、少し恥ずかしそうに、いった。「先生、これ好き?」先生は言った。「いいじゃないか」この一言で、トットちゃんの涙が止まった。トットちゃんはいすから降りると、いった。「もう、大栄君が、オーエス!といっても、泣かない」校長先生は、うなずいてから笑った。トットちゃんも笑った。笑い顔は、おさげに似合った。トットちゃんは、お辞儀をすると、運動場に走っていって、みんなと遊び始めた。そして、トットちゃんが、泣いたことを、ほとんど忘れかけたころだった。大栄君が、頭をかきかき、トットちゃんの前に立って、少し間のびのした、大きい声で、こういった。「ゴメン!さっき、引っ張って。校長先生に叱られたよ。女の子には親切に、だって。女の子は大切に、やさしくあげなきゃ、いけないってサ!」トットちゃんは、少しびっくりした。だって「女の子に親切にする」なんてこと、これまで、聞いたことがなかったkら。偉いのはいつも男の子だった。トットちゃんの知っている、子供のいっぱいいる家でも、いつも、ご飯でも、おやつでも、男の子から先だったし、何かその家の女の子が、言うと、お母さんが、「女の子は、黙ってらっしゃい」といった。それなのに、校長先生は、「女の子に大切に」って大栄君に言ったんだ。トットちゃんは不思議な気持ちがした。それから、うれしい気もした。誰だって、大切にされるのは、うれしいことだもの。大栄君にとっても、この日のことは、強いショックだった。「女の子には、やさしく、親切に!」そして、これは、いつまでも忘れられない思い出になった。どうしてかって、いえば、大栄君がトモエにいた間、校長先生に叱られたのは、後にも先にも、このときだけだったんだから。

    冬休みになった。夏休みと違って、学校に集まることはなくて、みんな、家族と過ごすことになっていた。右田君は、「おじいちゃんのいる九州で、お正月をするんだ!」と、みんなにいいふらしていたし、科学の実験の好きな泰ちゃんは、「お兄さんと、どっかの物理の研究所に見学に行くんだ」と楽しみそうにしていた。みんなも、いろいろいいながら、「またね、またね」と、別れていった。トットちゃんは、パパやママと、スキーだった。パパのお友達で、同じオーケストラのチェリストで指揮者の斉藤秀雄さんが、とても上等のお家を、志賀高原に持っていた。そこに、毎年、冬に、お邪魔するようになっていたので、トットちゃんは、幼稚園の頃から、スキーを始めていた。駅から馬橇に乗って志賀高原に着くと、真っ白の雪の世界で、リフトとか、何にもなくて、すべる所には、ときどき、木の切り株なんかが、出っ張ったりしていた。斉藤さんのお家みたいのが、志賀高原にない人の泊まるところは、旅館が一つと、ホテルが一つあるだけど、ママが言っていた。でも、面白いことに、外国の人が多かった。それまでの年と今年とでトットちゃんが違うことは、一年生になったことと、英語をひとつ、覚えたことだった。パパから教わったのだけど、それは、「サンキュー」というのだった。いつも雪の上にスキーをはいて、トットちゃんが立っていると、外国の人達が、そばを通りながら、みんなトットちゃんに、何か言う。きっと「可愛い」とか、何とか、そんなふうなことだったかも知れないけど、トットちゃんには、わからなかった。だから昨年までは、黙っていたけど、今年からは、そういう時、頭だけ、ちょっと、さげて、「サンキュー」と、いちいち、、いってみた。それを聞くと、外国の人達は、みんな、ますますニコニコして、口々に、何かいって、中には、トットちゃんのほっぺたに、自分のほっぺたをくっつける女の人や、ギューっと、抱き閉める、おじいさんなんかもいた。トットちゃんは、「サンキュー」だけで、みんなと、こんなに、お近づきになれるなんて、面白い、と思っていた。ある日、そんな中にいた、優しそうな若い男の人が、トットちゃんに近づくと、「自分のスキーの、前のところに、乗りませんか?」というジェスチャーをした。パパに聞いたら、「いい」というので、トットちゃんは、「サンキュー」とその人にいった、その人は、自分の足元のスキーの上にトットちゃんをしゃがませると、両方のスキーを揃えたまま、滑り降りた。

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