第25章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3538更新时间 : 2017-07-30 10:15:56

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それにしても、当時五十歳の、この石井漠は、小さいトットちゃんにも、心をこめて、「自由に踊る楽しさ」を教えてくれようとしたのだった。

    「いいかい?今日の先生だよ。何でも教えてくださるからね」校長先生は、こう言って、一人の男の先生を、みんなに紹介した。トットちゃんは、つくづくとその先生を観察した。何しろ、その先生の恰好は、変わっていた。上着は縞のハンテンで、胸からは、メリヤスのシャツが、のぞいていて、ネクタイの変わりに、首には手ぬぐいが、ぶら下がっていた。そして、ズボンは、紺の木綿のバッチ風の細いのだし、靴じゃなくて、地下足袋だった。おまけに、頭には、少し破れた麦藁帽子をかぶっていた。今トットちゃん達が、どこにいるのか、といえば、九品仏の池のほとりだった。しばらく、その先生をジロジロ見ていたトットちゃんは、その先生に、見覚えがあることを発見した。「えーと、えーと…」顔色は日焼けして、真っ黒だった。そして、その顔に、しわはあるけど、やさしそうだった。腰に結んであるベルトみたいな黒い紐にぶら下げてあるキセルも、何か始めて見る感じじゃなかった…… (わかった!)トットちゃんは、思い出した。「ねえ、先生って、いつも、あそこの川のそばの畠にいる、お百姓さんじゃないの?」トットちゃんは、すっかり、うれしくなって、いった。すると、地下足袋の、その先生は、白い歯を見せ、顔中を、しわくちゃにして、笑っていった。「そうだよ。みんな、九品仏のお寺に散歩に行くとき、家のそばを通るじゃねえの?今、菜の花が咲いてる、あすこの畠。あれが家のだから」「わあ!おじさんが、今日は先生なのか!?」トットちゃん達は、すっかり興奮した。人の良さそうな、おじさんは手を振っていった。「いやいや、私は先生なんかじゃなくて、百姓です。今日は、校長先生に頼まれたんでね」校長先生は、お百姓さん先生の隣に並ぶと、いった。「いや、これから、畠の作り方を、あなたに教えてもらうのだから。畠のことについては、あなたは先生です。パンの作り方を習うときは、パン屋さんに先生になってもらうのと同じです。さあ、どんどん、子供たちに指図して、始めてください」きっと、普通の小学校では、生徒に、何かを教える人には、「先生の資格」とか、いろいろ規則があるだろうけど、小林先生は、かまわなかった。子供たちに、「本物」を見せることが必要なのだし、それが、大切なことだ、と先生は考えていた。「じゃ、始めっかな」畠の先生にいった。みんなの、立っている場所は、九品仏の池にまわりでも、特に静かなところにあり、木が池に影を落としているという、感じのいいところだった。校長先生は、すでに、スコップとか、くわ、とか、そのほか、畠に必要な道具をしまっておく物置にするために、普通の一台の半分の電車を、運んで来てあった。半分の電車は、小さい畠になる予定の土地の、丁度真ん中に、こぢんまりと、静かにおいてあった。\ 電車の中から、スコップとか、くわを運び出すように生徒に言うと、畠の先生は、まず草むしりから始めた。先生は雑草について話した。「雑草が、どんなに丈夫なものか」という事や、「雑草によっては、作物より、伸びるのが、早いのがあって、おかげで作物に日が当たらなくなってしまう」とか、「雑草は、悪い虫の、いい、隠れ場所だ」とか、「雑草は、土から栄養を取ってしまうから困るのだ」とか、もう次から次と、教えてくれた。しかも、話しながら、手は休むことなく雑草を、ひきぬいた。みんなも同じようにやった。それから先生は、くわで耕すこと、うねを作ること、大根などの、種のまき方、肥料のやり方など、畠に必要なことを、実際に、やって見せてくれながら説明した。途中で、小さい蛇が頭を出して、上級生のタアーちゃんが、もう少しで手を噛まれそうになったりもしたけど、畠の先生は、「このあたりの蛇は毒もないし、こっちが、何かしなければ、あっちから噛み付いてくることもないのだから」と安心させてくれたりもした。とにかく、畠の先生は、畠の作り方だけじゃなく、虫のこと、鳥のこと、蝶々のこと、天気のこと、もう、いろんなことを、面白く話してくれた。節くれだった先生の丈夫な手が、そういう話は、どれもこれも、畠の先生が体験し、自分で発見したのだ、ということを証明しているようだった。みんなは、汗びっしょりで、先生に手をとってもらって、ついに畠は完成した。どこから見ても……少しグニャぐにゃのうねはあったけど……完璧な畠だった。この日以来、トモエの生徒は、その、おじさんに逢うと、「畠の先生!」と、遠くからでも、尊敬をこめて、叫んだ。畠の先生は、自分の畠に余った肥料を、学校の畠に、少しまいといてくれることもあった。みんなの畠は、順調に成長した。毎日、誰かが、見回りに出かけては、校長先生やみんなに、畠の様子を報告した。「自分のまいた種から、芽が出る」ということが、どんなに不思議であり、驚きであり、そして、喜びであるかを、子供たちは、知った。みんな、何人か集まると、畠の成長について、話し合った。世界の、いろいろなところで、少しずつ恐ろしいことが始まっていた。でも、この小さいな畠について真剣に話し合ってる子供たちは、ありがたいことに、まだ、平和そのものの中に、いたのだった。

    トットちゃんは、放課後、学校を出ると、誰にも話しかけず、さよならもいわずに、、口の中でブツブツ何かを言いながら、急ぎ足で自由が丘の駅まで来た。まるで落語のようだけど、トットちゃんは、いま、「トドロキケイコクハンゴウスイサン」という難しい言葉を、言い続けているのだった。だって、もし誰かが隣に来て、「ジュゲムジュゲムゴコウのスリキレ」なんていったら、とたんに忘れちゃうに決まっているし、「よいしょ」なんて水たまりを飛び越えたら、もう、わかんなくなっちゃうから、とにかく口の中で、繰り返しているのが一番いいと考えたのだった。ありがたいことに、電車の中でも誰にも話しかけられず、なるたけ面白そうなことも見つけようとしなかったので、「あれ?」と思うことも起らないで済んで、家に帰る駅で、電車を降りた。でも駅を出るとき、顔なじみの駅のおじさんが、「おかえり」といったとき、もう少しで、「ただいま」といおうと思ったけど、いっちゃうと、そのあとから、「ただいまスイサン」なんて、なっちゃいそうだったんで、右手でバイバイをして、左手で口お押さえて、走って家まで帰ったのだった。帰るなり、トットちゃんは、玄関でママに、すごい声で叫んだ。「トドロキケイコクハンゴウスイサン!」一瞬ママは、四十七士の討ち入りか、道場破りの真似かと思った。でも、すぐママには、わかった。「等々力渓谷、飯盒炊爨!」等々力というのは、トットちゃんの小学校のある自由が丘から三つ先の駅で、そこに、東京名所のひとつである、滝と小川とか林の美しい“等々力渓谷”と呼ばれる所があり、そこで、ご飯を炊いて食べるのだ、と理解したのだった。(それにしても)とママは思った。(こんなに難しい言葉を、よく憶えること。子供というのは、自分に興味のある事なら、しっかり憶えるものなのね)トットちゃんは、やっと難しい言葉から解放されたので、次から次と、ママに話しかけた。今度の金曜に、朝、学校に集まって行く。もって行くものは、お茶碗と、おわんと、お箸と、お米を一合。「一合っていうのは、お茶碗に、ちょうど、一杯くらいだって、そして、炊くと、お茶碗二杯くらいになるんだって」と忘れずに、付け加えた。それから、豚汁を作るので、中に入れるお肉とか、お野菜。それから、おやつも、少し持って行っていい。その日から、トットちゃんは、台所で仕事をするママに、ぴったりくっついて、包丁の使い方、おなべの持ち方、ご飯のよそい方、などを研究した。ママが働いているのを見るのは、とても気持ちがよかったけど、中でもトットちゃんの気に入ったのは、ママが、おなべのふたなどを手に持って、「あちちちち……」なんていったとき、その手を、急いで耳たぶに持っていくことだった。「耳たぶが冷たいからよ」とママは説明した。トットちゃんは、この動作が何よりも、大人っぽく、台所の専門家がすることのように見えたから、(私も、ああいう風に、トドロキケイコクハンゴウスイサンのときには、やしましょう)と決めた。いよいよ、その日が来た。電車から降りて、みんなが、等々力渓谷に到着すると、林の中で、校長先生は生徒を見た。高い木の上から差し込む光の中で、子供たちの顔はピカピカと光って、可愛かった。

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