第27章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3513更新时间 : 2017-07-30 10:15:56

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泰ちゃんは、一息つくと、いった。「大きくなって、君がどんなに頼んでも、僕のお嫁さんには、してあげないからね!」それだけいうと、泰ちゃんは、下を向いたまま、歩いて行ってしまった。トットちゃんは、ポカンとして、その泰ちゃんの頭が……脳味噌が、いっぱい詰まっている、自分の尊敬してる頭、仮分数、という仇名の頭が……見えなくなるまで見ていた。トットちゃんは、ポケットに手を突っ込んだまま考えた。思いあたる事は、ないように思えた。仕方なく、トットちゃんは、同級生のミヨちゃんに相談した。ミヨちゃんは、トットちゃんの話を聞くと、大人っぽい口調で、こういった。「そりゃ、そうよ。だって、トットちゃん、今日、お相撲の時間に、泰ちゃんのこと、投げ飛ばしたじゃないの。泰ちゃんは、頭が重いから、すーっと、と土俵の外に、すっとんだんだもの。そりゃ、怒るわよ」トットちゃんは、心のそこから後悔した。(そうだった)、毎日、鉛筆をけっずてあげるくらい好きな人を、なんて、おすもうの時間に、すっかり忘れて、投げ飛ばしちゃったんだろう……。でも、もう遅かった。トットちゃんが、泰ちゃんのお嫁さんになれない事は、決まってしまった。(でも、明日から、やっぱり、鉛筆は、けずってあげよう)だって、好きなんだもの。

    トットちゃんの前の学校のときも、そうだったけど、小学生が、「はやし歌」を、声をそろえて歌うのが、はやっていた。例えば、トットちゃんが、退学になった、その前の学校では、放課後、学校の門を出てから、自分たちの校舎を振り返りながら、生徒たちは、こう歌った。「赤松学校、ボロ学校!入ってみたら、いい学校!」そして、このとき、たまたま、よその学校の子が通りかかったりすると、その、よその子は、赤松小学校のほうを指さしながら、こう大声で、けなした。「赤松学校、いい学校!入ってみたら、ボロ学校!わーい!!」どうやら、建物が、新しいとか、古いとかいう、見たところで、「ボロ」か、どうか決めるんだけど、やはり大切なのは、「入ってみたら……」のところで、子供とはいっても、学校は、建物より、内容で、「入ってみたら、いい学校!」のほうが、「いい」という真実をついてるところも、この歌には、あった。この「はやし歌」は、もちろん、一人のときは、歌わなくて、五人とか六人とか、人数の多いときに、やるのだった。さて、今日の午後のことだった。トモエの生徒は、みんな放課後、思い思いのことをして、遊んでいた。みんなが決めた呼び方、“追い出しのベル”という最終的なベルがなるまで、好きなことをしていて、いいのだった。校長先生は、子供に、自分の好きなことをさせる自由時間が、とても大切と考えていたから、放課後の、この時間は、ふつうの小学校より、少し長めに、とっていた。校庭でボール遊びをする子、鉄棒や、お砂場で、ドロンコになっている子、花壇の手入れをする子もいたし、ポーチ風の小さい階段に腰をかけて、お茶べりしてる上級生の女の子もいた。それから、木登りの子もいた。みんな勝手にやっていた。中には、泰ちゃんのように、教室に残って、物理というか、化学の続きのフラスコを、ブクブクさせたり、試験管などを、あれこれテストしたりしてる子もいたし、図書室で、本を読んでいる子だの、動物好きの天寺君のように、拾って来た猫を、ひっくり返したり、耳の中を、のぞきこんで研究してる子もいた。とにかく、みんな、楽しんでいた。そんな時、突然、学校の外から、大きな、「はやし歌」が聞こえた。「トモエ学園、ボロ学校!入ってみても、ボロ学校!」(これは、ひどい!)と、トットちゃんは思った。ちょうどそのとき、トットちゃんは、校門(といっても、根つこのある、葉っぱが生えてる木なんだけど)その、そばにいたから、その歌は、よく聞こえた。(ひどすぎる。どっちも、「ボロ」なんて!)ほかの子も、そう思ったから、門のほうに走って来た。そうすると、その、よその学校の男の子たちは、「ボロ学校!ワーイ!!」と叫びながら、逃げ始めた。トットちゃんは、とっても憤慨した。だから、その気持ちを、静めるために、その男の子たちを追いかけた。たった一人で。でも、その子達は、とても足が早くて、「あっ!」という間に、横丁を曲がって、見えなくなってしまった。トットちゃんは、残念に思いながら、ブラブラ歩きながら、学校のほうに、もどって来た。このとき、なんとなく、自分の口から歌が出た。それは、こうだった。「トモエ学園、いい学校!」それから、二歩くらい歩くと、続きが出た。「入ってみても、いい学校!」トットちゃんは、この歌に、満足した。だから、学校に戻ると、わざと、よその学校の子みたいに、垣根から、頭を突っ込んで、大声で、歌った。みんなに聞こえるように。「トモエ学園、いい学校!入ってみても、いい学校!」校庭のみんなは、はじめは、わけがわからないらしく、シーンとしたけど、それが、トットちゃんとわかると、みんなも面白がって、外に出てきて、一緒に、はやし始めた。そして、とうとう、みんなは、肩を組んだり、手をつないだりしながら、列になって、学校の周りを、回り始めた。回りながら、みんな声をそろえて歌った。本当は、声よりも、心が揃っていたんだけど、そんな事には、気がつかないで、ただ面白くて、楽しいから、みんな、何度も、何度も、グルグルグルグル学校の周りを、行進しながら歌ったのだった。「トモエ学園、いい学校!入ってみても、いい学校!」校長室の校長先生が、どんなに、うれしい思いで、この歌を、耳を済ませて聞いていたか、生徒は、もちろん、知らなかった。どの教育者もそうであるように、特に、本当に、子供のことを考えている教育者にとっては、毎日が、悩みの連続に違いなかった。まして、このトモエ学園のように、なにから、なにまで、変わっている学校が、異なる教育方針を持っている人たちから、非難を、受けないはずはなかった。そんな中の、この生徒たちの合唱は、校長先生にとって、なによりの、贈り物だった。そして、子供たちは、飽きもしないで、いつまでも、いつまでも、繰り返し、歌うのだった。その日は、いつもより、“追い出しのベル”は、遅く、鳴った。

    今日、トットちゃんは、悲しかった。もう、トットちゃんは、三年生になっていて、同級生の泰ちゃんを、とても好きだと思っていた。頭がよくて、物理が出来た。英語を勉強していて、最初に「キツネ」という英語を教えてくれたのも、泰ちゃんだった。「トットちゃん、キツネは、フォックスだよ」(フォックスかあ……)その日、トットちゃんは、一日“フォックス”という響きに、ひたったくらいだった。だから、毎朝、電車の教室に行くと、最初にする事は、泰ちゃんの筆箱の中の鉛筆を、全部ナイフで、きれいに、けずってあげる事だった。自分の鉛筆ときたら、歯でむしりとって、使っているというのに。ところが、今日、その泰ちゃんが、トットちゃんを呼び止めた。そのとき、トットちゃんは、昼休みなので、プラプラと講堂の裏の、れのトイレの汲み取り口のあたりを散歩してたんだけど、「トットちゃん!」という泰ちゃんの声が、怒ってるみたいなので、びっくりして立ち止った。泰ちゃんは、一息つくと、いった。「大きくなって、君がどんなに頼んでも、僕のお嫁さんには、してあげないからね!」それだけいうと、泰ちゃんは、下を向いたまま、歩いて行ってしまった。トットちゃんは、ポカンとして、その泰ちゃんの頭が……脳味噌が、いっぱい詰まっている、自分の尊敬してる頭、仮分数、という仇名の頭が……見えなくなるまで見ていた。トットちゃんは、ポケットに手を突っ込んだまま考えた。思いあたる事は、ないように思えた。仕方なく、トットちゃんは、同級生のミヨちゃんに相談した。ミヨちゃんは、トットちゃんの話を聞くと、大人っぽい口調で、こういった。「そりゃ、そうよ。だって、トットちゃん、今日、お相撲の時間に、泰ちゃんのこと、投げ飛ばしたじゃないの。泰ちゃんは、頭が重いから、すーっと、と土俵の外に、すっとんだんだもの。そりゃ、怒るわよ」トットちゃんは、心のそこから後悔した。(そうだった)、毎日、鉛筆をけっずてあげるくらい好きな人を、なんて、おすもうの時間に、すっかり忘れて、投げ飛ばしちゃったんだろう……。でも、もう遅かった。トットちゃんが、泰ちゃんのお嫁さんになれない事は、決まってしまった。(でも、明日から、やっぱり、鉛筆は、けずってあげよう)だって、好きなんだもの。

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