第28章

小说:窗边的小豆豆(中文版+日文版)作者:[日]黑柳彻子字数:3505更新时间 : 2017-07-30 10:15:56

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    トットちゃんの前の学校のときも、そうだったけど、小学生が、「はやし歌」を、声をそろえて歌うのが、はやっていた。例えば、トットちゃんが、退学になった、その前の学校では、放課後、学校の門を出てから、自分たちの校舎を振り返りながら、生徒たちは、こう歌った。「赤松学校、ボロ学校!入ってみたら、いい学校!」そして、このとき、たまたま、よその学校の子が通りかかったりすると、その、よその子は、赤松小学校のほうを指さしながら、こう大声で、けなした。「赤松学校、いい学校!入ってみたら、ボロ学校!わーい!!」どうやら、建物が、新しいとか、古いとかいう、見たところで、「ボロ」か、どうか決めるんだけど、やはり大切なのは、「入ってみたら……」のところで、子供とはいっても、学校は、建物より、内容で、「入ってみたら、いい学校!」のほうが、「いい」という真実をついてるところも、この歌には、あった。この「はやし歌」は、もちろん、一人のときは、歌わなくて、五人とか六人とか、人数の多いときに、やるのだった。さて、今日の午後のことだった。トモエの生徒は、みんな放課後、思い思いのことをして、遊んでいた。みんなが決めた呼び方、“追い出しのベル”という最終的なベルがなるまで、好きなことをしていて、いいのだった。校長先生は、子供に、自分の好きなことをさせる自由時間が、とても大切と考えていたから、放課後の、この時間は、ふつうの小学校より、少し長めに、とっていた。校庭でボール遊びをする子、鉄棒や、お砂場で、ドロンコになっている子、花壇の手入れをする子もいたし、ポーチ風の小さい階段に腰をかけて、お茶べりしてる上級生の女の子もいた。それから、木登りの子もいた。みんな勝手にやっていた。中には、泰ちゃんのように、教室に残って、物理というか、化学の続きのフラスコを、ブクブクさせたり、試験管などを、あれこれテストしたりしてる子もいたし、図書室で、本を読んでいる子だの、動物好きの天寺君のように、拾って来た猫を、ひっくり返したり、耳の中を、のぞきこんで研究してる子もいた。とにかく、みんな、楽しんでいた。

    お弁当が終わって、お昼休みになったときだった。トットちゃんが、スキップしながら、行動を横切ろう、としたところで、校長先生に逢った。逢った、といっても、さっき一緒に、お弁当をたべたばっかりだったんだけど、とにかく、トットちゃんと、反対のほうから、先生が来たから、逢った、という形になった。校長先生は、トットちゃんを見ると、いった。「ちょうど、よかった。君に聞きたい、と思ってた事があったんだ」「なあに?」と、トットちゃんは、何か、先生に教えてあげることがあるなんて、うれしい、と思って聞いた。先生は、トットちゃんの頭のリボンを見て、いった。「君の、そのリボン、どこで手に入れたんだい?」それを聞いたときの、トットちゃんの、うれしそうな顔といったらなかった。だって、それは、昨日から結んでいるんだけど、トットちゃんが見つけた、掘り出し物だったからだった。トットちゃんは、そのリボンを、先生に、もっと、よく見えるように近づけると、得意そうな声で、「おばちゃまの、昔の袴に、ついていた。箪笥にしまうとき、見つけて、いただいたの。おばちゃまは、「トットちゃんの目は、早いのね」といった」と報告した。先生は、トットちゃんの話しを聞くと、「そうか。なるほど」と、考えるように、いった。トットちゃん御自慢のリボンは、このあいだ、パパの妹さんの家に遊びに行ったときのことなんだけど、運よく、虫干しで、いろんな着物と一緒に、おばちゃまが、女学生の頃、着てた紫色の袴も、出していたのだった。そして、それを取り込むとき、トットちゃんは、チラリ、と、いい物を見ちゃったのだった。「あれー!!いまの、なあに?」おばちゃ間は、その声に手をを止めた。その、いいもの、というのが、今リボンで、それは、はかまの後ろの部分、ウエストの上あたりの、硬くなってる山型の部分に、ついていたのだった。おばちゃまは、「後ろから見える、おしゃれね。ここに、手で編んだレースをくっつけたり、幅の広いリボンを縫いつけて、大きく蝶々のように結んだりするのが、あの頃の流行だったのよ」と話してくれた。そして、その話を聞きながら、いかにもほしそうに、そのリボンを、ずーっと、なでたり、さわったりしてるトットちゃんを見て、「あげましょう。もう、着ないのだから」といって、はさみで縫いつけてある糸を切って、そのリボンをはずして、トットちゃんにくださった、というのが、いきさつだった。本当に、そのリボンは、美しかった。上等の絹で、バラの花や、いろんな模様が、織り込んである、絵のような、リボンだった。幅が広くてタフタのように張りがあるから、結ぶと、トットちゃんの頭と同じくらいに大きくなった。「外国製」だと、おばちゃまは、いった。トットちゃんは、話をしながら、時々、頭をゆすっては、サヤサヤ、というリボンの、すれる音も、先生に聞かせてあげた。話を聞くと、先生は、少し困ったような顔でいった。「そうか。昨日、ミヨが、トットちゃんのみたいなリボンがほしい、っていうから、ずーっと、自由が丘のリボン屋さんで探したんだけど、ないんだね。そうか、外国のものなんだなあ……」それは、校長先生、というより、娘に、ねだられて、困っている父親の顔だった。それから、先生は、トットちゃんに、いった。「トットちゃん、そのリボン、ミヨが、うるさいから、学校に来るとき、つけないで来てくれると、ありがたいんだけどな。悪いかい、こんなこと、たのんじゃ」トットちゃんは、腕を組んで、立ったまま、考えた。そして、わりと、すぐ、いった。「いいよ。明日から、つけて来ない」先生は、いった。「そうかい。ありがとう」トットちゃんは、少しは残念だったけど、(校長先生が困ってるんだもの、いいや)と、すぐ決めたのだった。それと、決心した、もう一つの理由は、大人の男の人が……しかも自分の大好きな校長先生が……リボン屋さんで一生懸命、探してる姿を想像したら、可哀そうになったからだった。本当に、トモエでは、こんな風に、年齢と関係なく、お互いの困難を、わかりあい、助けあうことが、いつのまにか、ふつうの事になっていた。次の朝、学校に出かけたあと、トットちゃんの部屋にお掃除に入ったママは、トットちゃんの大切にしてる、大きな熊のぬいぐるみの首に、あのリボンが結んであるのを、見つけた。ママは、どうして、あんなに喜んで結んでたリボンを、トットちゃんが急にやめたのか、不思議に思った。リボンをつけたグレーの熊は、急に派手になって、恐縮してるように、ママには、見えた。

    トットちゃんは、今日、生まれて初めて、戦争で怪我をした兵隊さんのたくさんいる病院に行った。一緒に三十人くらいの小学生が行ったけど、みんな、いろいろの学校から集まってきた知らない子達だった。いつの頃からか、国の命令によるもののようだったけど、一つの小学校から、二人か三人、トモエのように人数の少ない学校は一人とか、そんな風に、お見舞いに行く子が決まると、三十人くらいのグループにまとめて、どこかの学校の先生が引率して、兵隊さんの入っている病院に行く、というようなことが、少しずつ始まっていた。そして、今日は、トモエからは、トットちゃんだった。引率の先生は、めがねをかけて、やせた、どこからの学校の女の先生だった。その先生に連れられて、病院の部屋に入ると、白い寝巻きを着た兵隊さんが、十五人くらい、ベッドの中にいたり、起き上がったりして、むかえてくれた。怪我してるって、度運なのかと、トットちゃんは心配してたけど、みんながニコニコしたり、手を振ったり、元気なので安心した。でも、頭に包帯してる兵隊さんもいた。女の先生は、部屋の、だいたい、真ん中へんに子供を、まとめると、まず、兵隊さんに、「お見舞いに参りました」と、挨拶をした。みんなも、おじぎをした。先生は続けて、「今日は、五月五日で、端午のお節句ですので、「鯉のぼりの歌」を歌いましょう」といって、早速、手を指揮者のように、高く上げ、子供たちに、「さあ、いいですか?三!四!」というと、元気に、手を振り下ろした。顔見知りじゃない子供たちも、みんな、大きな声で、一斉に歌い始めた。いらかの波と 曇の波…… ところが、トットちゃんは、この歌を知らなかった。トモエでは、こういう歌を、教えていなかったから。

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